August 2, 2017 スタジオブログ
■2017年度Y-GSCスタジオ報告②
先日、Y-GSC須川亜紀子教授による特別講演会「Shojo Manga, Romance, and Politics, 1950s-70s」(旧題:「Shojo Manga, Romance, and Politics in 1960s」)が行われました。


講演者はシンガポール国立大学日本学部准教授のデボラ・シャムーン先生。
シャムーン先生は、Passionate Friendship : The Aesthetics of Girl’s Culture in Japanの著者で、戦前の女性誌の発展と戦後の少向け漫画とカルチャーとのつながりを見出し、日本の少女漫画のスタイルの確立を説明しています。


今回の講演では、アメリカ・イギリスの「ロマンスコミック」と呼ばれる女性向けの漫画が日本の少女漫画と同じようには発展しなかった理由として検閲の問題を挙げ、女性向けの漫画なのに男性から見たような女性の身体描写(下から仰ぐように女性の身体をまなざすように描かれている)があったことがとりあげられました。以下の写真は、公演後の質問で、日本の少女漫画などとはちがう正方形のコマ割りについて須川先生が解説しています。日本的な漫画を読むリテラシーが身についていると、このような整然としたコマ割りは読むのが難しそうです。


アメリカ・イギリスと日本の漫画の比較ののちに、少女漫画というジャンル形成における隠れた才能、水野英子さんの作品をとりあげ、例えば彼女の「銀の花びら」(1957年)という作品が、手塚治虫の少女向け漫画の作画へ影響を及ぼしていたのではないかという指摘がありました。水野さんの作品については学生もよく知らなかったと言いますが、このような影響力があったことに驚きました。


そして水野英子の「ファイヤー!」(1969-71年)という作品が、少女漫画の重要なターニングポイントであると紹介していただきました。「ファイヤー!」は、個人の解放という60年代のカウンターカルチャーの理想と、女性化された男性キャラクターを取り上げていて、ファッション誌で連載されていたもののようです。シャムーン先生が注目する1960年代の少女漫画のジャンルのゆるやかな変化(より多くの女性漫画家の登場、装飾的で審美的なスタイル、物語の複雑さと深刻さを高めたことなど)は、1970年代初頭に現れた女性漫画家(「24年組」)の隆盛以前から、水野英子のような人物によって支えられていたということがわかりました。


講演会の後、Y-GSCスタジオにて懇親会も行いました。おつまみはスペインにお住まいだった須川先生が選んでくださったピンチョス。スペインではよく食べられているものとのこと。



そしてシャムーン先生がお土産でくださったのは、シンガポール国立大学のクリアファイルとボールペン!オリジナルグッズ素敵ですね。シャムーン先生、須川先生、素敵な1日をありがとうございました。



追記(2017年8月8日):シンガポール国立大学の日本研究学科のFacebookページに報告を掲載しいただきました。